CaseStudy08人流調査を受け入れていただいたのも提案にあたって大きかったです。柳田様:当時、社内で新型コロナの感染者が増えた時期がありまして、一週間ほど事務所への出社禁止措置を取らざるを得ない状況がありましたが、全員在宅勤務になっても仕事が回ったことがありました。ただ、その経験だけで我々が「出社人数を半分に減らそう」と言っても実際に業務が回らなくなっては意味がありません。そんな時にナイキさんに声をかけてもらい、旧事務所に来ていただいて様々な調査をしていただけたのは今思うと良かったです。今回のプロジェクトリーダーである家村に一日中張り付いていただいて、どの部署とリレーションがあるか、トイレに何回行ったか、どれだけ休憩しているかまで詳細に行動を調査してもらいましたね。木村:その時点ではすでにフリーアドレスを試されていたので、我々としても勇気づけられました。フリーアドレスの導入が初めてではなく、ある程度理解してくださっていましたので、そのうえでご提案することができました。柳田様:そもそも、「フリーアドレスを試したい」と提案してくれたのは家村だったんですよ。家村様:それまでフリーアドレスやABWの知識はまったくありませんでしたので、まずは自分たちで勉強することから始めようと考えたのがきっかけです。するとフリーアドレスには完全なフリーアドレスとグループアドレスの2種類あることを知りまして、プロジェクトメンバーで話し合ったところ、我々はIT企業ではないのでグループアドレス一択となりました。ただ、グループアドレスをするにしても、「脇机に収納している個人の荷物はどうするの?」という問題が生じたのです。それでも、「いったん荷物はそのままでいいから、まずはパソコンと自分だけ移動してみよう」と試してみたんです。木村:あれには一番驚きました。他人の荷物がある席にほかの人が座るじゃないですか。それでも仕事が成り立つことにびっくりしました。家村様:当社の雰囲気が和気藹々としていたからですかね(笑)。実際に試してみると、新しい発見としてはこれまでコミュニケーションしていなかった人とコミュニケーションが取れるようになったのが一番です。その一方で、いつも同じ席に座ってしまう社員も出てきましたね。柳田様:でも、この準備期間中にある程度フリーアドレスを経験しておけたのは後々考えて良かったですよ。野村:その後、コンペは2022年11月に実施されまして、私たちの合同チームに受託のご連絡をいただきました。どのような点を評価していただいたのでしょうか?柳田様:どの会社さんもそれなりに良い提案でしたが、ナイキさんの提案は違いましたね。通常であれば「ここにはどんな什器を置く」といったいわゆるステレオタイプの現実的な提案になるのですが、ナイキさんはゼロベースで発想されていてアイデアがとても面白かった。もちろん、安定性や信頼性といった面でも評価が高かったので、点数を積み重ねていったところナイキさんのチームに決定させていただきました。野村:ありがとうございます。荏原製作所様は「水・空気・環境」をテーマに事業を展開されていますので、空間デザインとしてはそれらに着目して「地球」をコンセプトにしたオフィスレイアウトを発想させていただきました。また、机もキャスターがついたもので自由に移動できることで、いろんな働き方を実現できるように設計し、席数もかなり減らさせていただきましたね。柳田様:当社と関係性の深いユアサ商事さんもチームに入ってらしたので、事業をよくご理解されていましたね。「水・空気・環境」は当社の経営目標になっているのですが、そこがうまくはまった感じがします。また、「事務所移転のついでに図面を起こします」というスタンスではなく、きちんと業務や人流の調査をされたうえでレイアウトを提案していただきましたので、納得感と安心感もありました。01
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